「終わらざる夏」 浅田次郎

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    評価:
    浅田 次郎
    集英社
    ¥ 1,785
    (2010-07-05)

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    浅田 次郎
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    JUGEMテーマ:読書


    第二次世界大戦末期。

    ドイツが降伏しただ一国、世界中を敵に回し無理な戦を勧める日本。
    一億玉砕、本土決戦が叫ばれる中、多くの若者が戦地で命を落とし、
    とうとう要衝の要・沖縄も陥落した。
    誰の目にも敗勢が濃厚な中で兵役年限は45歳まで引き揚げられた。

    翻訳出版を生業としていた出版社の編集長・片岡の元に、
    岩手の兄の元から電報が届く。
    「赤紙キタ、スグ送ル、七月十日十三時、弘前着」
    届くはずのない赤紙が、千島列島という遙か北の島に連れ去った。
    秘密裏に降伏後の通訳要員として。
    そんな終戦間際、突然一方的にソ連が宣戦布告。

    千島列島・シュムシュ島に配属された片岡、鬼熊、菊池。
    それぞれの運命が交わり変わり始める。

    1945年8月15日。
    日本はポツダム宣言を受諾し無条件降伏した。

    しかし千島では新たな戦争が始まった。
    海を渡って北の孤島に現れたのは赤い星のマークの軍隊だった。
    美しい島を背景に、65年前のあの夏、いったい何が起きたのか・・・。



    あまりにも悲しい戦い。
    何のために戦ったのか。
    あの戦いはいったい何だったのか・・・。

    多くの一般市民が犠牲となった沖縄戦は知っていたけど、
    北のはずれの孤島・千島での戦いはよく知らなかった。
    北方問題の原因がこれだったんだなぁとよく理解できました。

    自衛隊出身の浅田次郎さんらしく、軍隊の事細かな描写は素晴らしく、
    ご本人も戦争を書き残しておくのは自分の使命だと感じているところがあります。
    戦争文学と言うべきなのかどうか分かりませんが、
    「シェエラザード」や「日輪の遺産」、「歩兵の本領」など、
    この手の物語はさすが浅田さんです。

    ストーリー展開の仕方に若干「?」と感じる箇所もありましたけど、
    理不尽な戦いに挑まざるを得なかった当時の状況がよく分かります。
    ロシア(旧ソ連)が終戦記念日は9月2日だという言い分はこのこのためか。

    戦争には勝ち負けなどなく、ましてや本当の正義など何処にもない。
    いつの時代も指導者のエゴで傷つくのは罪のない民衆だけ。
    死ぬためだけに訳も分からず千島に向かわされたソ連兵。
    突然襲った砲弾に応戦せざるを得なかった日本軍。
    戦争の悲惨さ、平和の大切さを改めて痛感しました。

    何万人、何十万人と命を落とした一人ひとりに、
    それぞれの家族がいて、それぞれの人生があったのだと、
    これを読んで改めて痛感しました。
    もう二度と戦争を起こしてはいけない。

    僕があれこれと語るよりも、
    是非一読していただきたい本です。

    コメント
    戦争モノに最近疲れを感じて、これも読むつもりはなかったんですが…
    先日テレビで浅田さんが出てて、「戦後生まれのボクがこの本を書くのは怖かった。戦中の方に申し訳ない。でも今書かずにいられない」的なことを言ってました。
    それで興味を持ってます。
    やはり読んでみるべきなんですね。
    ■じゅずじさん
    浅田さんの戦争物は胸に迫るものがあります。
    自衛隊の経験から来るものなのでしょうか?

    いままで千島のこの出来事について書いた人はいなかったので、
    それだけでも一読の価値はあると思いますよ。

    漢字が昔の漢字なのでちょっと慣れるまで読みづらいです。
    • あらいぶ
    • 2010/08/24 8:54 PM
    驚きました!
    まさか、そんなことがあったとは。
    ソ連の言い分もあるんでしょうけど、今まで表に出てなかったことが不思議です。
    この時期ですから、いろんな方に読んで欲しいですね。
    ■じゅずじさん
    まったくね。
    どうしていままで誰も書かなかったんだろうね。

    戦争体験者が減っていくなか、
    これを始め、絶対に忘れてはいけないですね。
    • あらいぶ
    • 2010/10/01 7:43 AM
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    • じゅずじの旦那
    • 2010/09/30 10:47 PM

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